さらに暮らしやすく! 生まれ変わる泉北ニュータウンの今とこれから

さらに暮らしやすく!
生まれ変わる泉北ニュータウンの今とこれから

クリエイターの声

堺市 泉北ニューデザイン推進室

1960年代から都市の郊外に開発された泉北ニュータウンは、まちびらきから50年以上経った今、少子高齢化や空家の増加、生活スタイルの変化など様々な課題をかかえています。こういった問題に対し堺市では、泉北ニューデザイン推進室を中心に次世代を担う若い世代の転入・人口増加に向けた様々な取り組みを実施しています。

若い世代に響くまちづくり~大阪府住宅供給公社と進める住戸リノベーション~

三木氏:泉北ニュータウンは、住宅の約半分が公的賃貸住宅と呼ばれる団地で、そのうち府営住宅が5割、URが3割、公社が2割となっており、堺市の市営住宅はありません。そのため、泉北ニュータウンで団地再生に取り組む場合、各事業者と連携して進めることが重要になります。

高松氏:公社と課題共有しながら進めている茶山台団地に関する取り組みも、堺市にとっては特徴的な存在となっています。
お部屋をDIYでカスタマイズできる「つくろう家」やグッドデザイン賞を受賞した「ニコイチ」など、常に新しいことに取り組んでいる公社の発想は、聞くたびにワクワクします。また、茶山台団地内の集会所に住民が本を持ち寄り、子どもが集まれる図書館として活用したり、みんなが集ったり食事したりできる丘の上の惣菜屋さん「やまわけキッチン」が団地の一室にオープンしたり、子ども会の復活やハロウィンイベントなど住民同士の交流が活発化するなど、大人も子どもも楽しめる仕組みがあるのも特長だと感じています。

1.職住近接の暮らしを推奨

三木氏:多くの企業がテレワークを採用するなど通勤や働き方にも大きな変化が訪れました。南区役所では会議室を改修し、市民の方々が利用できる予約制の「南区テレワークオフィス」を設置しました。大阪市内へ通勤せずともテレワークを活用して多くの方々にご利用いただいています。
高松氏:堺市では、コロナ渦によるテレワークが普及する前から「職住近接」の暮らしの促進を掲げ、その環境づくりをサポートしてきました。例えば、結婚や子育てによって仕事をやめた方が、店舗兼用住宅、事務所兼用住宅などを新築・改築して、パティシエや革職人など在職中に培った知識や技術を活かしてお店や事業をされています。「職住近接」の暮らしについてのイベントを開催すれば、周辺地域から見学に来られるなど多方面で住民の活動が注目されています。

三木氏:今年のニコイチでは、ワークスペースを取り入れた間取りをコンセプトにし、自宅で仕事をすることを考慮したプランとなっています。テレワーク対応の会社員はもちろん、自宅でビジネス展開をされている個人事業主の方、職住一体・近接型のライフスタイルを実現する若い世代を誘引することに期待しています。

2.市民主体のまちづくり

高松氏:泉北ニュータウンにおける課題を解決しながら、地域の魅力を向上させようという目的で「泉北をつむぐ まちとわたしプロジェクト」が2014年より始まりました。このプロジェクトでは、泉北の豊かな資源を享受するだけでなく、実践・発信することを目的としており、堺市はその活動を支援してきました。
三木氏:ミーティングやワークショップを通して企画を考え、市民が主体の活動が活発化しています。
堺市は街の発展のため、これからも市民が自発的に行動・活動・発信できる環境づくりをサポートしていきたいと考えています。

3.ポータルセンボクでプロモーション発信

高松氏:堺市泉北ニューデザイン推進室が運営する「PORTAL SENBOKU」では、「住む」、「知る」、「遊ぶ」のカテゴリ―別で泉北の魅力を紹介しており、泉北ニュータウンで暮らす若い世代のライフスタイルにスポットを当てたプロモーションサイトとなっています。住民の方がオススメしたいお店や情報、場所、カルチャーを紹介し、最近の泉北ニュータウンでの新しい暮らし方やリアルなライフスタイルをブランドとして発信しています。泉北ならではの多様で豊かな暮らし方の「泉北スタイル」をぜひ、みなさんにも体験していただきたいと思っています。

4.大蓮公園がリニューアルオープン

高松氏:茶山台団地の向かいには約15ヘクタールの広大な大蓮公園があります。この公園について、堺市は地域住民の幅広い世代が活躍できる場所として2020年8月にリニューアルオープンしました。
公園内の博物館「旧泉北すえむら資料館」は、世界的建築家の槇文彦氏が1970年に設計した建築物で、今般リノベーションしました。
公園内の一画には、自転車メーカー「シマノ」が創業した自転車の街・堺市ならではの、マウンテンバイクの普及を目的としたパンプトラック「デコボコバイクパーク」が整備・配置されました。不定期ではありますが公園の入口付近では、市民によるマルシェや市民活動が開催されており、パンやコーヒーなどが販売されています。
大蓮公園は、散歩や家族でのピクニックなど、大人も子どもも一緒に楽しめる公園で、平日でも世代問わず賑わっています。
泉北ニュータウンは移りゆく四季や野鳥の鳴き声など、自然を身近に感じながら暮らせる住環境だと感じています。

泉北ニュータウンの新たな街づくりがいよいよ本格化

高松氏:堺市は、これまでの10年で先に記述した活動をはじめ、「泉北ニュータウン再生指針」に則った取り組みを行ってきました。2021年5月(予定)には新たな指針として「SENBOKU New Design」を策定し、新たな価値の創造に向け、次の10年の取り組みをスタートします。

これまでのニュータウンは住宅中心のベッドタウンでしたが、より豊かに暮らせるまちを目指し「職住近接」、「健康長寿」、「スマートシティ」といった新たな視点を計画に盛り込みました。また、泉ケ丘駅や栂・美木多駅周辺の再整備が始まり、目に見える形でまちが大きく変化し始めるのではないかと考えています。
こういったプロジェクトが本格的に動き出すことで多方面から、新たな都市へと生まれ変わる泉北ニュータウンに期待が寄せられており、若年世代の誘引につなげていきたいと考えています。